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Columnコラム

FRP防水とは?

「FRP防水の特徴を知りたい」「他の工法との違いは?」こんな疑問をお持ちのかたは多いと思います。

FRP防水は工期が短く耐久性もあるため、ベランダやバルコニーへの施工に適している防水工事です。

防水工事をしっかり行なっていないと、雨漏りがおこる可能性があります。

特にマンションやビルの屋上は勾配がない陸屋根になっている場合が多く、雨漏りが起こりやすい場所です。

そこでこの記事では、防水工事の中でも最も防水性能が高い、FRP防水について解説します。

FRP防水とは

FRP防水とは、ガラス繊維(ガラスマット)シートと液状の不飽和ポリエステル樹脂を組み合わせることで、軽量ながらも非常に強固な防水層を作り上げる防水工法です。

FRP防水のFRPは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略称で、樹脂にガラス繊維などの繊維を複合して強度を向上させた強化プラスチックのことを指します。

この防水工法は、耐摩耗性や耐衝撃性が求められる環境において特に有効であり、住宅から商業施設、完全な水密性を求められる施設まで幅広い用途で採用されています。

FRP防水のメリット・デメリット

FRP防水には、防水性能と耐久性など多くのメリットがありますが、デメリットとなるポイントもあるので注意が必要です。


<FRP防水のメリット>

①貯水に使われるほど防水性が高い
 FRP防水はシームレスな防水層で完全な水密性を実現できるため、貯水槽やプール、浴槽など、大量の水を扱う施設での用途に適しています。
 非常に高い防水性能は、雨漏りのリスクを大幅に軽減するため、特に信頼性が求められる場所で採用されています。

②継ぎ目のない防水層を形成可能
 FRP防水は液状の樹脂を使用して施工するので防水層に継ぎ目が生じず、一体化した構造の防水層が形成されます。
 この特徴は、接合部からの漏水リスクをほぼ排除し、長期間の防水性能を保証します。

③高耐久で剥がれにくい
 FRP防水は耐摩耗性、耐候性、耐薬品性に優れており、屋上駐車場や工場床といった過酷な環境下でも防水性能を発揮します。
 さらに、錆びや腐食の心配がないため、塩害地域のような環境下でも安定した性能が期待できます。

④軽量なので施工場所を選ばない
 非常に軽量であるため、FRP防水は木造バルコニーや重量制限のある施設でも適用可能です。
 例えば、従来のアスファルト防水に比べて、約1/5程度の重量しかなく、建物への負担を大きく軽減します。

⑤ウレタン防水よりも工期が短い
 使用されるポリエステル樹脂の硬化時間がウレタン防水材よりも短いため、施工規模にもよりますがFRP防水は1~3日程度で施工が完了します。
 このため、工期の短縮によって施工中の建物使用への影響を影響を最小限に抑えられる点が大きなメリットです。


<FRP防水のデメリット>

①施工時に独特の臭いが発生する
 FRP防水の施工時に使用するポリエステル樹脂は、硬化する過程で独特の刺激臭を放ちます。
 この臭いは硬化が進むと消えるので一時的なものですが、住宅密集地や屋内施工では換気対策や近隣への配慮が必要です。

②紫外線(UV)への耐性が低い
 FRPの防水層は紫外線に弱く劣化しやすいため、直射日光にさらされる環境では定期的なトップコートの塗り替えが必要です。
 推奨されるトップコートの塗り替え頻度は5~7年に1度で、メンテナンスによって防水層自体の劣化進行を防ぐことができます。

③ほかの防水方法より費用が高い
 FRP防水の材料費は平米単価6,000~9,000円が相場で、広範囲の施工では総額が大きくなる傾向があります。
 ただし、長期間のメンテナンスコストを抑えられる点を考慮すると、トータルでのコストパフォーマンスは高いと言えます。

④施工場所によっては不向き
 FRP防水層には柔軟性がないので建物の動きに追従しにくく、施工場所によってはひび割れたり損傷しやすいので不向きです。
 特に、構造体の動きや温度変化による伸縮を受けやすい下地では十分な密着性や耐久性が発揮できず、防水層の劣化症状が発生しやすいです。

FRP防水の施工工程

ここでは、FRP防水を施工する際の工程について具体的に紹介します。

①下地の汚れを高圧洗浄
 施工面の汚れを徹底的に除去するため、高圧洗浄機を使用して洗浄を行います。
 高圧洗浄によって下地に付着した埃、油汚れ、カビ、苔などを除去し、プライマーや防水層の密着性を高めます。
 汚れなどが残ったままだとはがれや浮きの原因となるので入念に行う必要があります。

②ケレン作業・下地清掃
 高圧洗浄後、下地表面に残った旧塗膜や劣化部分をケレン作業で削り落とします。
 ケレン作業では手工具や電動工具を使用し、下地の平滑性を確保します。
 また、細かい砂やホコリも清掃し、施工面を滑らかに仕上げます。
 下地を平滑にすることで、防水層と下地の密着性を高め、はがれや膨れの発生を防ぎます。

③下地処理・補修
 下地表面がザラついてるようであれば、研磨ペーパーや電動グラインダーなどを用いて目荒らしします。
 下地にひび割れや凹凸、穴がある場合は、樹脂モルタルやシーリング材を用いて補修を行います。
 目荒らしや補修を行うことによって下地と防水層との密着性を向上させます。
 補修材料は、施工箇所の素材や条件に適したものを選定する必要があります。
 この工程が不十分だと、防水層の膨れや亀裂の原因になるため、丁寧に作業を進めます。

④改修用ドレンの設置
 施工箇所の排水効率を高めるために、劣化した既存のドレンを改修用ドレンに交換します。
 ドレン周辺は雨水が集中する箇所であり、最も漏水リスクが高い部分でもあるため、防水処理を特に丁寧に行い、雨水の侵入を完全に防ぐ必要があります。
 防水材を用いてドレンと防水層を一体化させることが求められます。

⑤プライマーの塗布(接着剤)
 下地と防水層の密着性を高めるため、下地材に適したプライマーをローラーや刷毛で均一に塗布します。
 プライマーは接着剤の役割を果たし、防水層の剥がれを防ぎます。続いて、ポリエステル樹脂を丁寧に塗布します。
 プライマーには防水層との相性が重要であり、ガラスマットやポリエステル樹脂に適した種類を選ぶ必要があります。

⑥防水用ガラスマットの敷設
 FRP防水の基本材料であるガラスマットを下地に敷設します。
 このマットが防水層の強度を支える骨材の役割を果たします。
 施工面の形状に合わせてマットを裁断し、隙間が生じないよう調整します。
 重ねる場合は、指定の幅を守って重なり部分が均一になるよう整えます。

⑦ポリエステル樹脂の塗布(1層目)
 ガラスマットにポリエステル樹脂を塗布して浸透させます。
 樹脂の塗布量が少なすぎると密着不良の原因となり、多すぎると硬化不良を招くため、均一に塗布する技術が求められます。
 この工程で、ガラスマットを樹脂でしっかりと浸透させ、防水層の強度と密着性を高めます。
 施工時の気温や湿度に注意した上で、硬化時間を確保します。
 施工箇所の状況によっては、再度ガラスマットを敷設してポリエステル樹脂を塗布し、2枚重ねた厚い防水層を形成する場合もあります。

⑧脱泡作業・樹脂の中塗り(2層目)
 1層目の塗布後、脱泡ローラーを用いて内部の気泡を徹底的に除去します。
 気泡が残ると膨れやはがれの原因となるため、念入りに行う必要があります。
 その後、中塗りとしてさらにポリエステル樹脂を塗布し、防水層の厚みと強度を高めます。
 中塗りした樹脂が乾いた後は、ガラスマットの繊維やムラによってできた凹凸部分にヤスリがけで研磨をして平らにします。

⑨トップコートの塗布
 最後にトップコートを均一に塗布します。
 トップコートは紫外線や摩耗からFRPの防水層を保護し、長期間にわたって耐久性を向上させます。
 施工環境や用途に応じて、耐候性や耐薬品性に優れたトップコートを選択します。

⑩乾燥・仕上がり確認
 トップコートが完全に乾燥した後、FRP防水層全体を点検します。
 施工箇所の継ぎ目や端部、塗布ムラがないかを確認し、防水性能が十分に発揮される状態であることを確かめます。

FRP防水のメンテナンスが必要なサイン

FRP防水は高い耐久性を持っているものの、それでも経年劣化は避けられません。

FRP防水の劣化症状を早期に発見して対処すれば、防水性能を長期間維持することができます。

以下のような劣化の兆候が現れたら、メンテナンスを検討しましょう。

・広範囲にわたるトップコートのひび割れやはがれ
・FRPの防水層全体の亀裂やはがれ
・部分的な補修では劣化を修復しきれない状態
まとめ
FRP防水は塩ビシート防水やアスファルト防水と比べて、施工場所を選ばず、複雑な形状にも対応可能な点が大きな強みです。

一方で、紫外線耐性やメンテナンス頻度面での課題があります。

防工法の選択は、建物の構造、用途、コスト、メンテナンス性を総合的に考慮して判断することが重要です。