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Columnコラム

タイルの浮き

「タイルの浮き」は経年劣化だけでなく、温度や湿度にも影響を受けて起こりやすいです。
外壁がタイルの建物の場合、
タイルが剥がれてしまうと歩いている人に被害を及ぼすといった危険もあります。
そこで今回は、タイルの浮きの原因、調査方法や補修方法などについてご紹介いたします。

<タイルの浮きとは?>

「タイルの浮き」とは、タイルと躯体部分(建物の骨組み)の間にある


モルタルが浮いてしまったり、タイルそのものがモルタルから浮いている状態のことです。


タイルの浮きの種類は大きく分けて2種類あります。


 


〇 下地浮き


下地浮きとは、タイルを固定しているモルタルが躯体部分から浮くことにより発生する現象のことです。


下地浮きはモルタルの内部に水が溜まったり、内部の水分の凍結などが原因で、


モルタル自身が膨張することにより起こります。


タイルが下地浮きにより浮いてしまうと、タイルが剥がれ落ちるリスクが高まることが考えられます。


下地浮きはエポキシ樹脂注入工法アンカーピンにング工法で補修することができます。


 


〇 陶片浮き


陶片浮きとは、タイルそのものがモルタルから剥がれ落ちてしまうことです。


陶片浮きも下地浮きと同様に、水分の膨張や湿度などが原因で起こります。


タイルが剥がれ落ちると安全性が落ち、見た目も損なわれるため、早急な補修が必要です。


陶片浮きが起こった場合は、一般的にはタイルを張り替えて対応します。


 

<タイル浮きが起こる原因>

タイルの浮きが起こる原因には主に7つのことが挙げられます。

○ 経年劣化
まず、タイル浮きが起こる一つに経年劣化があげられます。
タイル部分が日に当たることで膨張と収縮を繰り返し、
年数が経つごとにコンクリートやタイルが劣化し、付着力が低下してタイル浮きが起こります。
タイルの厚さや材質、施工時の処理によって劣化の程度は変わります。

○ 温度や湿度
次に、温度や湿度です。
激しい温度変化や水分量の変化で膨張と収縮を繰り返すことで、付着力が低下し、タイルが浮いてしまうことがあります。
また、磁器タイルとコンクリートの熱による伸縮係数の違いも生じるため、
モルタルと磁器タイルの間には隙間ができることもあります。

○ 地震などの外力による衝撃
タイルの浮きが起こる原因の3つ目は、地震です。
地震になどの外的要因により、建物の変形・揺れ・歪みの発生に伴い、
タイルの接着部分の付着力が低下し、タイル浮きが発生することが考えられます。
昨今ではタイルを接着するコンクリートの表面を高圧洗浄で目荒らしを行っており、
これにより接着力の向上が可能になってきました。
また、モルタル以外にはタイル用の接着剤が普及してきています。

○ 凍結と融解
4つ目は、凍結と融解です。
ひび割れ部分から入った水分(湿気)が凍結(膨張)と融解(収縮)を繰り返すことにより、
付着力が低下しタイルが浮いてしまいます。

○ 鉄筋の被り厚さ
鉄筋からコンクリート表面までの厚さが足りないために、鉄筋に錆が発生して膨張してしまい、
表面の層を押し上げてタイルを浮かせてしまうことがあります。

○モルタルの質
6つ目に、モルタルの質が挙げられます。
質の良いモルタルを使用していなかった場合や
タイルを貼り付けるモルタルの配合材料が適切でなかったり、
圧着不足によってモル付着力が低下してしまうことが考えられます。
また、モルタル内の水分が蒸発して硬化不良が起こったり、耐候性が低い場合もタイル浮きの原因の1つです。

○ コンクリート構造物からの影響
最後に、コンクリート構造物からの影響です。
タイルが付着しているコンクリート構造物そのものにひび割れなどがあると、タイル浮きに繋がることが考えられます。
コンクリート構造物が起因して起こるタイル浮きは非常に危険な可能性があるので、
見つけた場合は早急に対応しましょう。

<タイルの浮きが与える影響>

タイルの浮きが発生すると、さまざまな問題が引き起こされます。

○ 落下事故の危険性・安全性の低下
外壁タイルが浮いていると、少しの衝撃や風、振動で剥がれ落ちることがあるため、
タイルが落下する危険性が高くなり、建物の損傷につながる可能性があります。
特に高層ビルや商業施設など、多くの人が行き交う場所でタイルが剥がれ落ちた場合、
下を歩いている人に直撃する危険があり、重大な事故につながります。
実際に、タイル落下事故の事例はあります。
建物の安全性を維持するため、また事故を未然に防ぐためにも、
タイル浮きの早期発見と速やかな補修を行いましょう。

○ 余計なコストが発生する
タイル浮きを放置していると、浮きの範囲が広がっていき、その分補修の規模も大きくなっていきます。
また、補修を先延ばしにすることで、タイルが剥がれてしまうリスクが高くなり、
最終的に大規模な改修工事が必要になる場合もあります。
更に、外壁のタイルは建物を紫外線や温度変化から保護する役割も担っているため、
タイルが浮いているために外壁とタイルの間に隙間が生じると、
室内にも影響が出て、余計にエアコンを使用することになり電気代がかさんでしまいます。
タイルの浮きは、早期発見・早期対処を行うことによって、
コストや他の被害も最小限に抑えることが大切です。

○ 建物の美観が損なわれる
外壁は建物の顔ともいうべき存在です。
そこで使用しているタイルが浮いていると外壁の見た目が悪くなり、建物の美観を大きく損ねてしまいます。
美観の悪化は、建物の資産価値の低下にもつながってきます。

<タイルの浮きの調査方法>

タイルの浮きのトラブルを未然に防ぐには、定期的な調査は欠かせません。
建物の管理・維持が適切に行うために、タイルの浮きの兆候を早期に発見し補修を行うことは重要な調査の一つです。

タイル浮きの確認は、目視の他に、主に以下2つの調査方法があります。

〇 打診調査
打診調査とは、打診棒や打診用のパールハンマー等を用いて、
タイルを1枚ずつ叩き、音の変化や叩いた感触の違いでタイルの浮きや不具合を判別する方法です。
一見問題がないようにみえるタイルでも、打診棒で音を確認すると異常が発見されることがあります。
それぞれのタイルを叩いて調査するため、調査の信頼度が高い調査方法とされています。
次に説明する赤外線調査で見つかった不具合を確認するために併用して用いたりもします。
ただ、打診調査法は建物や規模によっては、足場や高所作業車を用意して作業するため、
コストがかかることがデメリットの1つです。

〇 赤外線調査
赤外線調査はサーモグラフィを使用して、熱分布からタイルの浮きを発見する調査方法です。
タイルの浮きが起こると空気の層が生まれ、タイルが浮いていない部分より温度が上昇しやすくなります。
赤外線エネルギーは熱エネルギーと比例して変化していく特性があるため、
温度の違いからタイル浮きが発生している箇所を見つけていきます。
赤外線調査は障害物があると温度が変わることから検出精度が下がってしまうという特徴もありますが、赤外線調査は打診調査よりも費用を抑えて実施できます。
今までは打診調査が一般的でしたが、
赤外線調査は、打診調査と比べてコスト・安全面においてメリットが大きいので、増えてきています。
とはいえ、打診調査法の調査精度はいまだ赤外線調査法に比べて高いため、
赤外線調査法と合わせて打診調査法も行うことが多いです。
今回は、タイルの浮きとは何か、その原因と影響、調査方法について解説しました。
タイルの浮きは、経年劣化や施工不良等、さまざまな理由によって発生します。
また、調査方法も、建物の立地や形状、希望によって変わってきます。
タイルの浮きを放置してしまうと、タイルが落ちる危険がある他、
落ちた部分から雨水が染み込んで漏水が発生する可能性もあるため、
補修は定期的におこなうことが重要です。

もし気になるところがあれば、お気軽に山路建設にご相談ください!