国がアスベスト調査や報告を義務付けた目的は、

「アスベストによる深刻な健康被害を防ぐこと」です。

アスベストは、綿のように軽いのに丈夫で変質しにくく、

耐久性や耐熱性にも優れているにも関わらず安価な素材であったことから、

長年にわたり建材や断熱材として広く使用されていました。

しかし、アスベストは0.02から0.06マイクロメートル（髪の毛の5000分の1程度の大きさ）という

非常に細かい粒子で大気中に舞い上がりやすいという特徴があり、

体内に入ると肺がんや悪性中皮腫（胸膜や腹膜にできるがん）などの

重篤な病気を引き起こすことが明らかになりました。

そのため、2006年9月以降は、アスベストは製造・使用ともに禁止されています。

しかし、禁止以前に建てられた建造物の多くにアスベストが使用されていることから、

解体や改修を行う際にアスベストにさらされる危険性は依然として残っています。

そのため、健康被害を防ぐために、アスベスト調査が義務化されたのです。

アスベスト調査は、まず「書面調査」と「目視調査」の２つを行います。

「書面調査」はその名の通り、設計図等の書面上でアスベストの有無を確認することです。

「目視調査」は現場に作業員が伺い、建物等を確認することです。

この２つの調査でアスベストの有無を判断し、使用されている可能性がある場合、

試料（工事をする箇所の塗装等の一部）を採取して分析調査をします。

アスベスト調査は、最初にお話しした通り、原則として全ての建築物等について義務化されています。

ただし、アスベスト調査が不要になるケースがいくつかあります。

①除去等を行う材料が木材・金属・石・ガラス等アスベストが含まれていないのが明らかなもの
②釘抜きや釘打ちなど、軽微な損傷しか及ぼさない作業
③既存の仕上塗材や下地調整材の除去をしない外壁塗装等、新たな材料を追加するだけの作業

以上３つのケースは調査をする必要がありません。